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暮らしが広がる庭間2

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「ウチ」と「ソト」がつながるエクステリアデザインアイデア集

暮らしが広がる庭間 2

庭は、生活を楽しむ空間です。
だからこそ庭には、お茶を飲んだり、食事を楽しめるスペースが必要です。

そのような空間を「庭間 」と呼びます。
利用しやすく、庭の一部として美しくデザインしなければなりません。

また、建物と隣接した場所に設ける場合は、家と庭をつなぎ、視覚的にも連続するように計画することが大切です。



〈設計・作図・文〉STUDIO VODA 井上裕美子

暮らしが広がる庭間 1



4m×10m の庭に、テーブルを置いて食事ができる、3m×3m のテラスを設けたプランです。




奥行きがないスペースなので、リビング前には室内から緑を楽しむ眺めをつくり、
ダイニング前に、戸外室となるテラスを計画しています。

土とほぼ同じ高さのテラスは、塀・花壇・パーゴラで囲われ、くつろげる空間になっています。
また、夏の暑さ対策として、パーゴラには植物を絡ませ、木陰が出来るようにしました。

テーブルにつくと、樹木の幹越しに、明るく開けた、水場のある眺めを楽しむことが出来ます。

リビング前に植えた植栽群落は、家と庭をつなぐ効果があります。
窓辺の樹木は、庭を身近に感じさせてくれるからです。

庭への出入り口部分に木陰をつくり、室内から庭へ住人を誘います。
また、夏の日中、室内の温度上昇を緩和し、隣家からの目隠しにも役立ちます。





テラス周りに高さ45㎝の花壇をつくり、目線の近くで季節の草花を愛でながら食事を楽しめるようにしました。
高さを上げた花壇は植物の成長にも適しています。

植物の手入れが苦手な方には、手間のかからない種類の低木や宿根草を選んだり、
葉の色や形の組み合わせを楽しむリーフガーデンにして、落ち着いた印象で、心休まる空間を演出しても良いでしょう。
料理に利用できるハーブを混ぜて植えるのもお勧めです。

パーゴラに絡む植物が、家と庭を視覚的につなげています。
室内においても、パーゴラからの木漏れ日が入り、緑豊かな景観を眺めながら心地よく過ごせます。

解説

パーススケッチ図

室内スケッチ図

立面図

平面図

POINT

◎まず大事なことは、テラスにどのような性格付けをするかを決めることです。
 そして、家と庭がつながって見えるように、位置・大きさ ・形・素材を決めていきます。
◎庭に奥行きがない場合、室内からの眺めがテーブルや椅子で独占しないように、テラスを横や下 ( 沈床 ) にずらして設置します。
◎室内から庭への出入り口付近 ( 窓脇 ) に植栽群落 ( 寄せ植え ) をつくることで、庭と室内をつなげる効果があります。
◎舗装材など素材選びは、家のインテリアのテイストに合わせます。 家と庭が視覚的に連続して見えていきます。
◎夏の暑さ対策が重要です。夏の日中、室内から庭への出入り口やテラスに、木陰をつくる落葉樹を植えたり、パーゴラを設置します。
◎木陰をつくる落葉樹に、葉が太陽の光を透すものを選ぶと、明るい木陰がつくれます。( ソロ・エゴノキ・コナラ・モミジ類など )
◎嵩上げした花壇は、椅子に腰かけたときに目線の近くで草花を楽しめ出来ます。また、排水性が良く植物の成長にも適しています。

主な使用アイテム

①テニソンペイバーLinkIcon

大理石の一種であるトラバーチンを再現したコンクリート製舗装材。
ぬくもりのある表情が、シンプルな空間にぴったりです。



②テニソンボーダーLinkIcon

テニソンペイバーの笠木として活用できるだけでなく、舗装材としてもご利用いただけます。


③リビオ[ai]スリット60LinkIcon

ナチュラルな温もりを持ちながら、洗練された印象を与えるボーダー形状の舗装材。
静かな表情の中に佇むスリットの装いがデザインを広げます。


〈設計・作図・文〉 STUDIO VODA 井上裕美子

〒047-0263 北海道小樽市見晴町14-29
E-mail : yu.voda@gmail.com


プロフィール

造園・エクステリアデザイナー
嵯峨美術短期大学インテリアデザイン科 卒業(現在は、京都嵯峨芸術大学)
店舗設計に従事後、自宅の庭づくりをきっかけに豊かな暮らし、
生活や楽しみの場としての庭をつくり広めたいと思い、1994年から造園会社に勤務。
2001年STUDIO VODA設立。
九州から北海道までの、個人の住宅・商業施設の造園・外構設計・装飾植栽、分譲住宅の街並みデザインを手掛ける。
大阪府出身、2009年より北海道在住