施工事例インタビュー Vol.2 思い出を活かすファサードプラン

お話を伺ったのは

株式会社豊田ガーデン
デザイナー 大木ミツルさん
〒471-0834
愛知県豊田市寿町4丁目54番地
TEL:0565-28-2601
FAX:0565-27-0816
HP :http://www.kayutei.co.jp/

単に「庭やエクステリアを造る」だけでなく
お客様との出会いやエクステリアに対する想いを大切にしながら
トータルに満足していただけるようなエクステリア、庭づくりを手掛ける。
28のテーマガーデンで季節の花を楽しめるガーデンミュージアム「花遊庭」も運営。

  

思い出を活かす ファサードプラン


ライフスタイルの変化に
あわせてリ・ガーデンした
ファサード。
長い年月を経た木や石の
佇まいを尊重した空間には、
お施主様に寄り添うことで
生まれたデザインが
ありました。

20年程前に豊田ガーデン様にて工事を手掛けられたI様邸。
ご友人との交流を大切にされているお施主様の元へは、多くの方が訪れます。
「お友達が来たときも車をゆったりと停められるよう駐車場を広くしたい」というご要望を受け、
リ・ガーデンをすることに。

リ・ガーデンの際に大木さんが大切にされていることのひとつに、
“できるだけ元の植栽や石を活かすこと”があるそう。
「“木は50年経ったら魂が宿る”と言いますが、年月をかけて育ったものは、デザインに『重み』が生まれます。
簡単に無くしてしまうのではなく、移動させたりしながら、できるだけ活かしていきたいと考えています。」

お施主様へのヒアリングと木や石の状態から、残すものと間引くもの、そして新たに追加するものを選定していきました。

たくさんの思い出が詰まった ヤマボウシ、マツ、アカモミジはそのまま活かした。

アプローチ横の景石は移動して使用。 コケをあえて残し、 長い年月から生まれた表情を大切にした。



植栽スペースを囲う石も、 元々あった石を移動して積みなおしたもの。

錆色が美しいアプローチの石畳も、
以前から敷いていた石をキレイにしたもの。
工事前は蓄積した汚れでグレー色に
見えていましたが、
掃除をすると豊かな質感が出てきたため、
それを活かして全体のデザインを
整えていったそうです。



駐車場の床面には鉄平石を。 アプローチや住宅と調和するトーンを保ちつつ、 華やかなデザインで“リフォーム感”を出すことで お施主様や訪れる方の感動を生む。


道路から住宅まで高さの違いを活かし、 15cm程の段差を設けて車止め代わりに。 空間の雰囲気を壊さず、車を停めていない時にも デザイン性を損ねない工夫です。





植栽の中に調和する石積みのベンチには、
こだわりと苦労が詰まっています。
いくつものサンプルを取り寄せ、
空間にあう色合いのアイテムを探し出したそう。
固く、加工しにくい石英岩をカットして
さまざまなサイズのパーツを現場でつくり、
それらを組み合わせて積むことでボリューム感と、より自然に近い雰囲気を出しました。

石積みの施工は、20年前の工事にも携わられた職人さんに依頼。
想いを伝えながら、細部までこだわって一緒につくり上げたその姿は
お施主様の心にも深く残っているそう。

ベンチの高さは人が座りやすい40~45cm程度に。 近所の方との楽しいひと時を届けます。 「こういうスペースは大切。お花の話などをきっかけに 地域のコミュニケーションが活発になれば」 と大木さん。




前後に配置したベンチのデザインは、
お施主様との会話の中から生まれた“心遣い”。
ご友人のお車が大きな車種と分かり、
ベンチとぶつかったり近づきすぎて
座れなくなってしまわないように、
タイヤやバンパーのサイズを調べ、
なおかつ樹木の根元とも干渉しないよう
ベンチの配置を決めたそうです。

「視覚的なアクセント(=デザイン)から 考えるのではなく、機能から考え、それに合わせて デザインが生まれると考えています。 それが“付加価値”になるんです」。 前後したベンチのデザインも まさに機能から生み出されたもの。

住宅の目かくしと、 風の通りを確保するフェンスのデザインも大木さんが考案。 軽さを出すために、大小の幅を組み合わせた。


ライティングは、 石の表情を美しくみせるというだけではなく、 夜間の駐車の際、ベンチとの 距離感が分かりやすいという役割も果たす。

必要な機能を考えるためには、お施主様が“何を大切にされているか”を引き出すことが重要。
趣味嗜好や家族のこと、暮らしについて時間をかけてヒアリングするそうです。
また、プランをする際は「平面図とにらめっこして机上で悩むことを減らすようにしています。現場で受けるインスピレーション、
建物や元からある植栽などとのバランスを意識してデザインを組み立てます。景色や自然の風合いを活かすことで、
時が経っても違和感のない空間ができるんです」と大木さん。
今回のリ・ガーデンも、20年の時を経た植栽や石があったからこそ活きるデザインです。




ナイトシーンの計画は現場で。 テストを重ね、光と影のバランスを調整して ライトの配置を決めたという。 「ファサードは施主様の人柄を反映する場所。 お客さまを迎える場所として、 ぬくもりある景色をつくりたかった」。

「時代で庭に求めることは変わっていきます。例えば、メンテナンスのハードルから『木はいらない』という若い世代の方が増えている。
そういった方へ何を提案できるかがこれからの課題です」。
時にはファッション誌やインテリアの雑誌から“今のライフスタイル”を吸収しながら、お施主様に寄り添うデザインを追求されています。