前回はSNSの活用術について、その基本を解説しました。SNS活用のポイントは「関係構築→関係深化」にありますが、今回はこの部分を掘り下げていきます。ポイントは「自己開示」です。

SNSで共感・好感、信頼を得る
差別化アピールの前に自己開示を

企業好感と企業信頼が重要に

 受注に至るには、まず好きになってもらい(共感・好感)、信頼してもらうという関係構築のプロセスが不可欠です。


 例えば、男性が女性を口説くとき、面識のない相手にいきなり「自分はこんなにすごい人間なんだぜ」とごり押しするより、共感・好感の感情があり信頼関係を構築できている相手に告白するほうが、成功確率が高くなりますが、これと同じです。
 住宅市場においても、Webの普及進化によってますます「企業好感」「企業信頼」をいかにターゲット層に感じてもらうかが大事になっています。

まずは「自己開示」から


 共感・好感を得て関係を構築するうえでSNSは有効ですし、信頼=関係を深化させていくうえでもSNSを活用することができます。

 共感・好感、そして信頼関係構築の基本は「自己開示」です。

 先ほどの恋愛の例え話で言えば、まずは自分のことをきちんと知ってもらい、その後もコミュニケーションを重ねるなかで、「この人なんかいいな」「信頼できそうだな」と感じてもらうことが成就のポイントだと思いますが、これと同じです。 

 SNSは手軽に自己開示ができる便利なツールです。

 逆に、SNSで、「俺ってすごいだろ」と言わんばかりの差別化アピールやイベント告知などの売り込みばかりをアップしている事業者も見かけますが、自己開示のコンテンツをほどよく織り交ぜないとなかなか成果はあがりませんし、そもそももったいない。
 SNSの手軽さ=気の利いた写真と短い文章で情報発信・コミュニケーションできること、を上手く活用して、どんどん自己開示すべきです。

SNSの自己開示、2つのポイント

 SNSで自己開示する際のポイントのひとつ目は、適度な距離感・適度なリアルさです。

 自己開示の基本は、「顔出し」をして、自分たちの考え方や行動を伝えることです。
 といっても、社長の業界交遊録や飲み会の様子、スタッフの細かな行動までは知りたくないでしょうし、逆に好感度を下げる可能性もあります。
 どこまでを開示して、どこから先は開示しないか、きちんと考えながら発信します。

 また、「インスタ映え」という言葉が一般化しましたが、インスタグラムのような写真SNSは特にいいイメージを「盛る」ことができます。

 SNSでいい話やいいイメージを盛れば盛るほど共感や好感のアップにつながるかもしれませんが、実態とかけ離れていれば、リアルな接触の際にがっかりさせることになります。
 共感・好感とリアルの境界線を見極めながら発信する必要がありますし、逆に盛らない「正直さ」は信頼を得るきっかけとなります。

 自己開示のもうひとつのポイントは、共感・好感、信頼を意識して発信する、ということです。

 まず、社長が朝礼で話しているような理念やビジョンの話、うちはこんなにいい会社だ的な自慢話は、「そのままでは」共感・好感を得にくいのでNGです。
 読み手が読みたいと思う、読んでよかったと思うかたちに再編集して発信する必要があります。

 その時に使えるテクニックのひとつが、エピソードを基本とする「物語(ストーリー)」化です。
 オーナー(OB)からのリアルな言葉を織り交ぜた実話エピソードであれば、自慢話的なことも読んでいて嫌になりませんし、共感も得やすく、リアリティも出ます。

 信頼について言えば、例えば建築士などの資格保有者が多い会社であればそれだけでも技術力に対する信頼につながるので、「当社には〇人の2級建築士がいますが、そのなかの一人の三浦が本日1級建築士の資格試験に挑戦しました。 実は1級と2級の違いは…」みたいなネタを意図して発信していく、そんなイメージです。

 こうしたテクニックは書けばきりがないのでこのぐらいにして、次回はSNSで伝えるべきもうひとつのことについて解説します。

すぐできる実践術⑧ 利用は計画的に


 個人のSNSと違って会社のSNSは業務で行うものですから、目的と目標を明確化し、計画的に利用すべきです。
 担当を決め、アップする日時を決め、いつにどんなネタをアップするかも決めておきます。

 基本は、塩梅(あんばい)とルールです。

 週5日SNSにアップすると決めたら、自社の告知的内容は2日、自己開示的な内容を1日、顧客ベネフィットにつながる内容を2日、といった塩梅のイメージですが、もっとざっくり決めても、もっと詳細に決めてもいいでしょう。

 ルールとは、例えばイベントの何日前からどんな内容を何回アップしSNS広告をどう活用するか、といった社内ルールです。
 ルールはいろいろテストマーケティングしたうえで検証改善しながら洗練していくしかありませんが、ゲーム感覚でやってみるといいでしょう。

三浦祐成(みうらゆうせい)
■ プロフィール
住宅ジャーナリスト
株式会社 新建新聞社
代表取締役社長

「変えよう!ニッポンの家づくり」を理念とした「新建ハウジング」や「リノベーションジャーナル」の発行人。その他に「木の家」「エコ」「工務店経営」にフォーカスした工務店向け専門紙の発行や住宅業界向けの執筆・講演を手掛ける。

主な発行物
  • 住宅産業大予測2017

    工務店を中心とする地域の住宅産業の目線に特化して、押さえておきたい住宅市場/業界/法制度を徹底解説。2017年を読む視点として、社会と業界の変化、3つのメガトレンドをピックアップしています。

  • あたらしい家づくりの教科書

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