- 景観にとって何がいいか?
- ファサード空間を美しくまとめるには?
景観に想いを巡らすと、宅配ボックスを機能門柱に一体化させることに行き着きました。
宅配ボックスだけでなく、ファサードに必要な郵便ポスト・インターホン・サイン(表札)を一つに集約させることで、空間をすっきりと見せることができます。まちや建物に対してノイズにならないようにすることは、景観を大切にする上で必要なことだと考えています。
景観に想いを巡らすと、宅配ボックスを機能門柱に一体化させることに行き着きました。
宅配ボックスだけでなく、ファサードに必要な郵便ポスト・インターホン・サイン(表札)を一つに集約させることで、空間をすっきりと見せることができます。まちや建物に対してノイズにならないようにすることは、景観を大切にする上で必要なことだと考えています。
主張が強くなりやすい一体型門柱だからこそ、正面のシンプルさをとことん追求しました。前から見たときにすっきりとした印象にしたい、その結果、正面はパネルだけ、側面に扉を付けるという考えに至りました。
横開き仕様になったことで、前後に開く仕様に比べ、奥行きをコンパクトに収めることができます。玄関から道路境界までのスペースがない戸建て住宅にも設置が叶います。
どれだけ正面デザインをすっきりさせても、存在感あるアイテムは望まれません。そのために2つの試行錯誤を重ねました。
1つ目は、正面の幅をできるだけ小さくすることにこだわり続け、350mmに収めたこと。350mm は100 サイズの段ボールの1 辺が300mm なことが多く、試行錯誤の上決定しました。その上で、受け取れる宅配物のサイズを変えないために、奥行きで調整しました。奥行きを広げても道路側からは分かりにくいので、ファサードデザインを崩しにくいと考えたためです。
2つ目は、正面パネルに切り欠きを入れたこと。パネルの厚みを薄く見せることで、存在感ある箱ではなく、スタイリッシュな門柱に仕上がりました。
何のため︖とも思われがちな細かなことですが、少しでもコンパクトに見せることが、景観を大切にするという想いにつながります。
実は一体型になったことで、ビスは約1/5に削減されました。
一体型にせずに現場での組み立てだと、ビスは30コ程度必要なことが分かりました。一体型にすることで、ビスは1/5の6コまで減らすことが可能に。細かな作業をできるだけ減らすことで、現場での作業が軽減され施工性が高まります。
さらに、宅配ボックスと郵便ポストが一体になっていることも施工性が向上され、現場での手間も減り、結果的に時間や人件費の削減につながり、コストパフォーマンスが高くなることが期待できます。
「宅配ボックスを暮らしにあたりまえの設備にしたい」という開発者の想いから、デザイン面だけでなく、施工面まで考えられています。
2つの宅配ボックスのサイズは100と110(3辺の合計が100・110cmまで受け取れます)。
同じ大きさで統一することも考えましたが、「もう少し大きければ受け取れたのに」というジレンマをできるだけ減らしたいと思い、サイズ違いの2 つのボックスにしました。
上段の方が取り出しやすいので、100サイズを上段に設置しています。100サイズ(上段)を日常的に使用していただき、100サイズでは宅配物が入らない場合に、下段の110サイズで受け取っていただく。そんな二段構造をイメージしながら、サイズに大小をつけました。
ただ、2つも宅配ボックスは必要ないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。じょうろやスコップなどの収納スペースにしたり、災害時用の避難袋の保管場所にするなど、使い方をご家族で話し合ってみるのもいいかもしれませんね。
3年前の展示会に比べ、宅配ボックスの認知度が格段にアップしたことで、ミースへの注目度も高かったという印象です。近年の暮らし方の変化に伴って、戸建て住宅でも宅配ボックスを設置することへのニーズが高まっていることがリアルに感じられました。
ミースそのものをご覧いただくとその大きさが気になりますが、正面がシンプルなデザインだからこそ建物に寄り添い、片側に集約された機能によりコンパクトな設置も可能です。
宅配ボックスがあたりまえに必要な設備となるように、景観を大切にしながら、建物とよりよい関係がつくれる開発を続けていきます︕