UNISON

パロ

ユニソンの舞台裏 開発者インタビュー

1.スタンドポスト「パロ」が生まれた背景について教えてください。

“道路と建物の間に生まれる空間に佇むポストを。

壁付けポスト、埋込みポストのヴィコWH、BIに始まり、
宅配ポストのヴィコDBの開発にこの数年携わってきました。
そんな中で、敷地を塀で囲わず、道路から建物へのアプローチに
自然樹形の樹木を植栽し、空間を楽しむ住宅が増えてきていると
感じていました。
また、住宅はどんどんシンプルになっているようにも感じ、
住まう人にシンプルに寄り添うポストってなんだろう?と考えた時に、
宅配ポストのような機能を優先したポストでは四角い筐体が
どうしても主張してしまうように思えたのです。

道路と建物の間に生まれる余白には、佇まいが美しくシンプルな姿のスタンドポストが落ち着いた空間をつくると考え、開発が始まりました。





2.つまり、このシルエットがスタンドポスト「パロ」らしさでしょうか。

シルエットも、素材も。

シルエットだけではなくステンレスと天然木という素材にもこだわりました。
住宅デザインがすっきりとシンプルになっているので、住宅と道路をつなぐ余白部分に佇むポストの素材は、
異物感を感じさせないものにしたいと考えました。
ステンレスは建物の部材としても使われていますし、バイブレーション仕上げを施すことで、
ヘアライン仕上げとは違った少し鈍りのある光沢となり、あたりまえにそこに存在するものとして空間に馴染むと考えました。
スタンド部分には天然木イペのタイプも採用しました。
天然木は住宅のサッシやベランダの手摺など部分的に使われることも多く、
空間の雰囲気を壊すことなくしっくりと馴染むと考えたからです。
ただ、ポストの素材に天然木採用することは初めての試みだったのでチャレンジでした。





3.初の試みにチャレンジして苦労したことも多かったのはないですか?

まるで異文化交流をしているようでした。

ステンレスと天然木、異素材を組み合わせるということは、異文化交流をしているようで、
それぞれの特性や特徴を知ってちょうどいい頃合いを探る作業でした。
天然木は自然のものです。そのため色や寸法が1つ1つ違います。
一方で、ポスト本体のステンレスは寸法誤差が少なくきっちりと形作られます。
ある程度の誤差はあってあたりまえの天然木と誤差なく正確に作ることがあたりまえのステンレス、
そんな考え方や成り立ちが違う素材ですので、それぞれの特性や特徴を知って
商品としての良品・不良品を決めていくことから始めました。
その上で、天然木でポールを作るときは、できるだけ誤差なく規格に沿ったものを、ポストを作るときには、
遊びのあるポールがしっかりと固定できるような仕組みになるように考え、カタチが決まっていきました。

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4.カタチが要だったのですね。

最後まで悩んだのは、投入口内部の構造。

カタチは割とスムーズに決まったのですが、メール便を受け取れるようにすると投入口サイズが
大きくなってしまいます。
そうすると出てくる問題が、投入口から手が入ってしまうのではないかという心配。
手が入らないようにすると少し大きなサイズのメール便が受け取れない…。
そこで投入口の内部に手を入りにくくするためのバーを追加することにしたのですが、
あまり大きすぎると今度は郵便物が入らなかったり、発売ギリギリまで調整を行いました。







5.デザイン・素材・機能すべてにこだわった「パロ」はどんなポストを目指していますか?

家族の成長に寄り添い、変化を楽しめるポスト。

住宅は建てて終わりではなく、そこで暮らす家族と一緒に変化していきますよね。
ポストも同じで、陽の光が当たったり、雨に降られたりして新しかったものが少しずつ変化していきます。
その変化を味わいとして楽しめるように、素材にはステンレスのバイブレーション仕上げや
天然木(イペ)を採用しました。
特に、天然木(イペ)はヨーロッパなどでは古ければ古いほど価値が上がる素材です。

住まう人が年を重ねていくように、ポストも自然の力や外的要因により、その趣きを変えていきます。
家族の成長の記憶とともに、趣きを重ねる過程も想い出となっていくポストとして、
それぞれの家族の物語に彩りを添えられればと思っています。