UNISON

第7回

前回まで「コンテンツマーケティング」と呼ばれる、事業者がプロフェッショナルとして、生活者が知りたい・知っておくべきお役立ち情報を、ブログを中心とするWebで発信する手法について紹介しました。
今回はSNSの活用術について考えてみます。

SNS活用のポイントは「関係構築→関係深化」
どの段階の顧客と何を使ってどう関係を深めるか

SNS活用の基本

SNSは私たちの生活に深く入り込んでいて、20代後半~40代=住宅の一次取得層であれば、程度はあっても大半がなんらかのSNSを活用していると思います。
それに伴いSNSのビジネス活用も普及・進化を続けていて、住宅業界においてもその方式の開発が進められています。

 SNSのビジネス活用のポイントは、さらに言えばSNSの特徴は、「関係構築→関係深化」にあります。

 フェイスブックにしてもインスタグラムにしても、SNSは最初に友達申請・承諾、フォロー、「いいね」押し、といったステップを踏んで関係を構築する必要があり、いったん関係を構築すれば継続的に情報を受け取ってもらえますが、そのハードルを超えない限り、DMのように情報を強制的に送り付けることはできません (SNSで発信した情報が検索に引っかかって見に来てくれる可能性はありますが)。

このため、住宅業界では、見込み客や契約客、オーナー(OB)などリアルな関係を構築している人たちに友達・フォロワーになってもらい、関係を深化させるために使うのが基本です。

 新規集客にSNSを使うには、ホームページや他のメディア(広告やチラシ、ツールなど)からSNSへと誘導し友達・フォロワーになってもらい、定期的に情報を受け取ってもらって徐々に関係を構築・深化していく、といった使い方が基本になります。

SNSの現状と使い分け

 数字は2016年のデータですが、図にSNSの現状と特徴を整理しました。


ツイッターは若者に依然人気ですが、工務店・エクステリア店がビジネス的に成果をあげるのは難易度が高いので、ここではツイッターを除いて、それぞれの特徴をふまえたSNSの活用法についてざっと解説します。

◇ ライン(LINE)

●活用法
新規集客+接点維持・育成

●ポイント
日本では利用者が多いためビジネス活用が急速に進んでいる。友達登録のハードルをクリアするハードルは高いが、一度友達になれば情報をプッシュ通知(お知らせ機能)で送ることができる。


◇ インスタグラム(Instagram)

●活用法
共感+事例共有+イメージ共有

●ポイント
写真は建築や庭と相性がよく、またインスタグラムは女性が多く使うSNSのため、女性を中心とするターゲットへのイメージ・世界観の訴求に向いている。 「#(ハッシュタグ)」による類似投稿の検索が可能で、ハッシュタグのつけ方が拡散のポイントとなる。ただし、「いいね!」を押してもらってもフェイスブックのように拡散はしていかない。


◇ フェイスブック(Facebook)

●活用法
(新規集客)+接点維持・育成

●ポイント
「いいね!」確保が課題なうえに、関係が深まったユーザーの元にのみ情報が露出しやすくなる「エッジランク」という仕組みが働くため、関係が深まらないと、自動的に情報を届ける「プッシュ型」の情報発信にもっていきにくい。基本的には見込み客・契約客・オーナーとの関係深化ツール。

 

 これらをすべてやらないといけないということではなく、自社の目的と余力に合わせて選べばいいと思います。

 ここに挙げたもの以外では、動画を活用するなら「ユーチューブ」(You Tube)への投稿も必要ですし、インスタグラムと近い写真系SNSとして「ピンタレスト」(Pinterest)も注目を集めつつあります。
 ピンタレストはまだ活用例が少ないですが、興味がありましたら検索して調べてみてください。

すぐできる実践術⑦SNSの投稿内容を考える


SNSに何を投稿するのか。

 ひとつは、ブログへのリンクを張ってコンテンツマーケティングを強化するというのが王道です。
 ブログをメインに日々コンテンツを充実しながらSEO的効果を期待し、さらにSNSとの連動で拡散&共感を期待する、というのが工務店・エクステリア店の基本パターンです。
 こうすることで、HPの更新頻度は少なくても情報を密に発信できますし、活発に活動・発信している会社だというイメージをもってもらうことができます(もちろんブログ・SNSの更新情報はHPにも自動反映させておきます)。

 もうひとつは、簡単に発信できるSNSの利点を生かしたカジュアルなコンテンツの投稿です。
 ・社内の風景やできごと、人となり、スタッフの行動を写真と簡単な文章で伝える。
 ・施工物件やそこで営まれている暮らしの魅力を、写真、特にスナップ的なもので伝える。
 ・自社のコンセプトにあった趣味・ライフスタイル系の情報を発信する。
 ・自社のエリアのトピック、お役立ち情報を発信する。 
 などなど。

 すでに関係を構築している顧客には、より親近感を感じてもらいファンになってもらう。
 まだリアルな接点を持っていない見込み客には、いかに共感してもらい、行ってみたい、見てみたいと思ってもらう。
 それを意識してSNSは投稿内容を考えます。

 次回は、より具体的な活用方法をご紹介します。

三浦祐成(みうらゆうせい)
■ プロフィール
住宅ジャーナリスト
株式会社 新建新聞社
代表取締役社長

「変えよう!ニッポンの家づくり」を理念とした「新建ハウジング」や「リノベーションジャーナル」の発行人。その他に「木の家」「エコ」「工務店経営」にフォーカスした工務店向け専門紙の発行や住宅業界向けの執筆・講演を手掛ける。

主な発行物
  • 住宅産業大予測2017

    工務店を中心とする地域の住宅産業の目線に特化して、押さえておきたい住宅市場/業界/法制度を徹底解説。2017年を読む視点として、社会と業界の変化、3つのメガトレンドをピックアップしています。

  • あたらしい家づくりの教科書

    本当に"よい家"に住もう。生活の舞台としてふさわしい家とは何か?目に見えない「高性能なエコハウス」の良さをどう伝えるか?家づくりの最前線で活躍する9人のエキスパートが紐解きます。

  • リノベーション・ジャーナル

    収入減・増税・地域活性化・空き家対策など、現在の住宅事情に伴い、リノベーションの需要と存在価値は高まる一方です。施工・ビジネス・インテリアなど毎号様々な角度からリノベーションを紹介するマガジン。

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