暮らしが広がる庭間1
庭は、生活を楽しむ空間です。
だからこそ庭には、お茶を飲んだり、食事を楽しめるスペースが必要です。
そのような空間を「庭間 」と呼びます。
利用しやすく、庭の一部として美しくデザインしなければなりません。
また、建物と隣接した場所に設ける場合は、家と庭をつなぎ、視覚的にも連続するように計画することが大切です。
〈設計・作図・文〉STUDIO VODA 井上裕美子
約4.5m×6.0m のこじんまりとした庭です。
リビング前に、奥行き2m× 最大幅3.4m のウッドデッキを設けています。
斜め方向の形状にすることで、強い朝日や西日を遮る高木を植えるスペースが確保でき
デッキ周りを緑豊かにしています。
リビングから段差がなくデッキに出られ、庭の緑へとつながっています。
デッキの生活が、通りから見えにくいように生垣とウッドフェンスを設けました。
また、玄関ポーチからの目隠しとしてウッドポールを並べています。
ともに狭く感じないように隙間を開けた仕様です。
デッキからの景色を楽しめるように、明るく開けた石積みの花壇を設けています。
手前を暗く、奥に明るいスペースをつくることは、奥行きを感じさせるデザイン上の工夫です。
POINT
◎室内の延長にデッキがあり、それにつづいて庭の緑がつながって見えるようにします。(デッキが独立した存在にならないように)
◎夏の日中、デッキに木陰をつくる落葉樹を植えることで、照り返しによる暑さをやわらげ、室内外ともに過ごしやすい環境をつくります。
◎デッキ周りの樹木は、生活空間と重ならないように、樹木の幹や枝葉が高い位置で広がるような樹形の木が適しています。
◎室内やデッキの生活が、通りからのぞかれないように生垣や塀を設けます。塀の外にも樹木を植えることで、目隠しの効果が高まり、
緑のつながりで奥行き感のある景観をつくることが出来ます。
◎デッキからの眺めを楽しむために、水鉢や花壇などのアイポイントを設けることも大切です。
〈設計・作図・文〉 STUDIO VODA 井上裕美子
〒047-0263 北海道小樽市見晴町14-29
E-mail : yu.voda@gmail.com
プロフィール
造園・エクステリアデザイナー
嵯峨美術短期大学インテリアデザイン科 卒業(現在は、京都嵯峨芸術大学)
店舗設計に従事後、自宅の庭づくりをきっかけに豊かな暮らし、
生活や楽しみの場としての庭をつくり広めたいと思い、1994年から造園会社に勤務。
2001年STUDIO VODA設立。
九州から北海道までの、個人の住宅・商業施設の造園・外構設計・装飾植栽、分譲住宅の街並みデザインを手掛ける。
大阪府出身、2009年より北海道在住