最初に、施主要望として芝生広場のような緑を設け、市民に寄り添う地域型の店舗が求められた。この要望をうけ、「人と街と緑が交わる商業施設」をコンセプトに緑の広場を持ち、広場を木造の店舗が取り囲む、そんな建築を提案した。特に、広場の在り方と建物の配置は、長く議論を重ね決定した部分である。最終的に、中央に広場を設け、Uの字の配置を採用した。各店舗をつなぎ、回廊としての役割を果たす出の深い庇は、木の温かみを最大限生かした構造・意匠としている。また、舗装デザインは、人の流れを生み出しつつ、庇下空間を彩るように、舗装の色やパターンを何度もスタディを重ね決定した。区画整理により、自然が人工物へと置き換わっていく街並みに対して、ヒューマンスケールの庇が人々を迎え入れる都市の軒下の役割をこの施設は実現できたと考えている。

今回、私たちが思い描いたコンセプトが伝わり、「デザインアワード　シルバー賞」を頂けたことを心より感謝いたします。
計画の実現とオープンまで協働頂いた関係者全ての方々への感謝と共に、「人と街と緑が交わる商業施設」というコンセプトが、これからも建物を通じ、様々な人に伝わっていくことを切に願います。