旗竿地という昔ながらの京町家のリノベーションで、通路の空間の使い方、アイデアの出せるところが非常に限られており、その中でいかに私の世界観を出せるかが一番苦労しました。
小さなお子様のいるご家族が京町家で暮らすには、という視点を第一に、京都らしさを残しつつも現代の生活スタイルに合った感覚を大事にしてデザインさせて頂きました。朽ちかけた杉皮塀は地元京都産の桧板塀にチェンジ。そしてその足元巾木は川石の腰積みにして板材の腐朽を予防。景色に飽きがこないよう、板塀のところどころにアクセントとして名栗風のデザインを。また、通路の途中にあった階段は、ベビーカーや自転車が通れるように緩やかなスロープに。新たに照明も加え、共働きで帰宅が遅くなっても明るいエントランスになりました。「用と景」すなわち「使いやすさと心地よさ」両方を兼ね備えた空間づくりをこれからも心掛けていきたいと思います。
この度は名誉ある賞をくださり、ありがとうございました。